根管治療は何回通う?平均的な回数と期間、長引く理由を解説根管治療は何回通う?平均的な回数と期間、長引く理由を解説東京都大森駅徒歩50秒の歯医者・歯科「おおもり北口歯科 大森院」です。

虫歯が進行して歯の神経にまで達してしまった際に行われるのが根管治療(こんかんちりょう)です。激しい歯の痛みを取り除き、大切な天然歯を抜かずに残すための重要な治療法ですが、「一体何回通えばいいのか」「なぜこんなに治療期間が長いのか」と疑問や不安を感じる方も多いでしょう。治療の全体像や、通院回数・期間の目安を正しく理解することで、安心して治療を完了させるための道筋が見えてきます。

目次

根管治療の通院回数と期間の目安は?

根管治療にかかる回数や期間は、治療を行う歯の位置や、初めての治療か再治療かによって大きく異なります。治療計画を立て、スケジュールを調整するためにも、まずは一般的な通院回数と期間の目安を確認しておきましょう。

平均的な通院回数は2〜5回、期間は1〜2ヶ月が目安

通常の根管治療における平均的な通院回数は2〜5回程度です。週に1回程度のペースで通院する場合、治療期間は概ね1〜2ヶ月が目安となります。ただし、根管内の炎症が治まるスピードや、細菌の除去具合によって回数は前後します。

【歯の場所別】通院回数の目安(前歯 vs 奥歯)

治療を行う歯の位置によっても回数は変動します。前歯と奥歯では、以下のような違いがあります。

  • 前歯:通院回数の目安は2〜3回程度。前歯は根管(神経が通る管)の数が1本のみであることが多く、形状も比較的真っ直ぐでシンプルなため、比較的短期間で治療が完了します。
  • 奥歯:通院回数の目安は3〜5回、あるいはそれ以上。奥歯は根管の数が3〜4本と多く、さらに複雑に曲がっていたり、細かく枝分かれしたりしているため、汚れを完全に取り除くのに多くのステップと時間が必要になります。

再治療(感染根管治療)の場合はさらに回数・期間が必要

過去に一度根管治療を終えた歯が再び細菌感染を起こし、再治療(感染根管治療)を行う場合は、初回の治療よりも難易度が上がります。以前に詰めた古い薬剤や、土台、被せ物を慎重に除去してから清掃を始める必要があり、頑固な細菌を根絶するために消毒を何度も繰り返すため、通院回数はさらに増え、治療期間も数ヶ月以上に及ぶことがあります。

なぜ根管治療は複数回の通院が必要なのか?

歯科治療の中でも、根管治療は複数回の通院を求められることが多い治療です。「1回でまとめて終わらせてほしい」と感じるかもしれませんが、確実に歯を残すためには、どうしても時間と回数をかける必要があります。それには3つの明確な理由があります。

理由1:歯の根の中の複雑な汚れを完全に取り除くため

歯の内部にある根管は、非常に細く、複雑に枝分かれしています。この中から細菌に汚染された神経や血管の組織を完璧に除去しなければ、治療後に再び細菌が繁殖して痛みが再発してしまいます。「ファイル」と呼ばれる専用の極細の器具を用いて、手作業で少しずつ汚れを削り取る地道な作業が必要となるため、どうしても回数がかかります。

理由2:薬剤による消毒効果を確認する時間が必要なため

根管内の清掃を行った後、目に見えないレベルの細菌を死滅させるために、根の中に強力な消毒薬を注入します。この薬剤が根管の隅々まで行き渡り、しっかりと効果を発揮して炎症を鎮めるには、数日から1週間程度の時間をおく必要があります。一度の通院だけで即座に無菌化することは難しく、薬を交換しながら経過を観察するステップが不可欠です。

理由3:根管充填と土台・被せ物の製作ステップがあるため

根管内が完全に無菌化されたら、再び細菌が侵入しないように専用の充填剤で隙間なく塞ぐ「根管充填」を行います。その後、歯の強度を補うための「土台(コア)」を構築し、型取りをして、精密な「被せ物(クラウン)」を製作・装着します。各ステップを確実に行い、適合性の高い仕上がりにするためには、工程ごとに治療を分ける必要があります。

根管治療が平均より長引く・終わらない7つの理由

治療を始めてから、予定よりも回数が増えて長引いてしまうことがあります。治療がなかなか終わらないと感じる場合、以下のような原因が考えられます。

1. 歯の根の形が複雑・数が多い

根管の数や形状には個人差があります。根管が網の目のように複雑に絡み合っていたり、途中で急激に湾曲していたりすると、器具が届きにくく、感染部位の特定や清掃に非常に多くの時間がかかります。

2. 根管内が石灰化して細くなっている

加齢や過去の強い刺激、虫歯の放置などによって、根管の内部が石灰化し、通り道が極めて細くなっている場合があります。器具を通すための道を慎重に広げる処置が必要となり、通常の何倍もの回数がかかります。

3. 感染が重度で膿が止まらない

細菌感染が進行し、根の先にある顎の骨のなかに大きな膿の袋(根尖性歯周炎)ができている場合、根の中から膿や液体が溢れ出続けます。この滲出液や膿が完全に止まるまで根管を密閉することができないため、何度も洗浄と消毒を繰り返す必要があります。

4. 過去の治療のやり直し(再根管治療)

再治療の場合、以前の治療で根の奥深くに緊密に詰められたゴム状の薬剤や、金属製の硬い土台をきれいに除去することから始まります。これらを周囲の健康な歯を傷つけずに取り除く作業は非常に難易度が高く、時間を要します。

5. 仮の蓋が取れて再感染してしまった

治療の合間、根管内を保護するために「仮の蓋」をします。この仮の蓋は長期間維持される設計ではないため、隙間ができたり外れたりしたまま放置すると、唾液中に含まれる大量の細菌が再び根管内に入り込みます。再感染が起きると、それまでの消毒が無駄になり、治療を最初からやり直さなければなりません。

6. 歯にヒビが入っている(歯根破折)

歯の根っこに目に見えないほどの微細なヒビが入っていることがあります。ヒビの隙間から絶えず細菌が侵入し続けるため、いくら根管治療を続けても炎症や痛みが治まりません。このような場合、通常の根管治療では完治が難しく、抜歯を検討せざるを得ないケースもあります。

7. 根管治療以外の原因で痛みが出ている

隣接する別の歯の虫歯や、重度の歯周病、あるいは筋肉や顔面の神経からくる痛みなど、問題の歯の根管以外に痛みの原因がある場合、いくら根管を治療しても痛みは消えません。原因を精密に再診断する必要があります。

【リスク大】根管治療を途中でやめるとどうなる?

根管治療を開始して1〜2回通うと、歯髄の除去によって痛みが一時的に劇的に改善することがよくあります。しかし、痛みが引いたからといって途中で通院をやめてしまうことは、歯の寿命を縮める極めて危険な行為です。中断による具体的なリスクは以下の通りです。

痛みが再発・悪化する

痛みが消えたのは一時的に神経を遮断しただけに過ぎず、根管内は依然として細菌が残り、封鎖もされていない未完成の状態です。時間が経てば細菌は爆発的に増殖し、以前よりもさらに激しいズキズキとした痛みが再発します。

歯茎が大きく腫れ、顔に影響が出ることも

根管内で増え続けた細菌や毒素が根の先から溢れ出すと、周囲の歯茎を急激に腫れ上がらせます。重症化すると顔の半分まで腫れが広がり、激しい痛みとともに日常生活に大きな支障をきたします。この段階では、抗生物質などの全身的な薬剤治療も必要になります。

細菌が顎の骨を溶かし、抜歯のリスクが高まる

根の先に溜まった膿は、周囲の骨をじわじわと溶かしていきます(根尖性歯周炎)。これを放置すると歯を支える骨が失われ、最終的には歯がグラグラになって抜歯するしかなくなります。適切に行われた根管治療の成功率は90%以上ですが、中断によりその成功率は大幅に低下し、抜歯リスクが跳ね上がります。

再治療がより複雑になり、費用と期間が増える

放置して悪化した状態から治療を再開する場合、お口の中の多様な雑菌が根管内に居着いており、治療が格段に難しくなります。通院回数や治療期間は初回の何倍も必要になり、治療費の負担も結果的に大きくなってしまいます。

根管治療の一連の流れ

根管治療は一般的に以下のようなステップで進められます。全体像を知っておくことで、現在どのような治療が行われているのかを把握しやすくなります。

ステップ1:検査・診断

まずはレントゲン撮影や、必要に応じて三次元的なCT検査を行い、歯の根の形状、本数、根の先に溜まった膿の有無などを正確に診断します。また、歯の揺れ具合や周囲の歯茎の状態も確認します。

ステップ2:虫歯の除去と根管の清掃・消毒

虫歯の部分をきれいに削り落とし、根管にアプローチするための通り道を作ります。細いファイルを用いて、汚染された神経や細菌、過去の薬剤を丁寧に取り除き、洗浄液でしっかり洗い流します。その後、根管内に消毒用の薬剤を入れ、隙間なく仮の蓋をして帰宅します。この清掃と消毒の工程を、根管内がきれいになるまで数回繰り返します。

ステップ3:根管内への薬剤の充填(根管充填)

根の中が完全に清掃され、痛みや膿、浸出液がないことが確認できたら、細菌の再侵入や増殖を防ぐために、根の先まで隙間なく特殊な充填剤を詰め込んで完全に密閉します。

ステップ4:土台の構築と被せ物の装着

根を密閉した後は、失われた歯の強度を戻すために土台(コア)を作ります。その上に精密な被せ物(クラウン)を装着して、噛み合わせを整え、治療完了となります。被せ物には保険適用のもののほか、経年劣化が少なく二次虫歯を防ぎやすい「e-max」や、高い強度を誇り奥歯にも適した「ジルコニアクラウン」など、セラミック素材の自費診療という選択肢もあります。

根管治療に関するよくある質問(FAQ)

治療中に感じる様々な疑問や不安に対する回答をまとめました。

Q1. 治療期間を短くする方法はありますか?

最も重要なのは、歯科医師に指示された通院間隔を正確に守り、予約をキャンセルせずに通うことです。また、自費診療の精密根管治療では、マイクロスコープや高度な器具を用いて1回あたりの治療時間をしっかり確保することで、全体の通院回数を数回に抑えてスピーディーに完了させる選択肢もあります。

Q2. 痛みがなくなったら通院をやめてもいいですか?

絶対にやめてはいけません。途中で痛みが消えるのは初期治療の成果に過ぎず、根管内はまだ完全に消毒・密閉されていません。中途半端な状態で放置すれば、間違いなく細菌が再増殖し、より重篤な症状を引き起こして歯を失うことになります。

Q3. 治療中に痛みが出た場合はどうすればいいですか?

根管治療中や処置の直後は、器具による刺激や一時的な炎症反応によって痛みが生じることがあります。通常は処方された鎮痛剤で収まりますが、痛みが引かない、激痛で眠れない、歯茎が腫れてきたなどの症状がある場合は、我慢せずにすぐに通院先の歯科医院へ連絡してください。

Q4. 治療中の歯で食事をしても大丈夫ですか?

治療中の歯は、内部が大きく削られて非常に脆くなっており、仮の蓋がしてあるだけのデリケートな状態です。硬いものを噛むと歯が割れてしまったり、仮の蓋が外れて細菌が侵入したりする恐れがあります。治療中の歯がある側では極力噛まないようにし、柔らかい食事を心がけましょう。

まとめ:根管治療は最後までやり切ることが自分の歯を守る最短ルート

2017年の患者調査によれば、歯科治療全体の約18%を占めるほど、根管治療は日常的に行われている治療です。しかし、その緻密さゆえに複数回の通院を要するため、途中で通院を負担に感じてしまうこともあります。しかし、天然の歯に勝るものはありません。歯ブラシでのケアに加え、デンタルフロスや歯間ブラシを併用して日頃の汚れ除去率を6割から8割以上へと高め、歯科医院での定期的なプロケアと組み合わせることで、治療を終えた歯は一生モノの資産になります。医師の立てた計画通りに最後まで根管治療をやり切ることこそが、生涯にわたって自分の歯でおいしく食事をし、無駄な通院や追加の治療費用を抑えるための最も確実で最短のルートなのです。

 

監修者

菊池 雄一 | Kikuchi Yuichi

神奈川歯科大学を卒業後、複数の歯科医院で分院長や口腔外科・矯正口腔外科の担当を務め、訪問歯科から親知らずの抜歯・インプラントまで幅広い臨床経験を積む。その後「おおもり北口歯科 大森院」を開業。昭和大学口腔外科退局後は、昭和大学歯学部での学生口腔外科実習の指導や、都内・神奈川県内の各歯科医院での出張手術も担当している。
 

【所属】
日本口腔外科学会
ICOI国際インプラント学会
日本口腔インプラント学会
顎顔面インプラント学会
顎咬合学会
スポーツ歯科学会
アメリカ心臓協会AHA
・スタディーグループFTP主宰

【略歴】

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