親知らず抜歯の費用、予想外に安い?知っておくべき保険適用と自費の違い

東京都大森駅徒歩50秒の歯医者・歯科「おおもり北口歯科」です。
親知らずの抜歯と聞くと「高額になりそう」と身構える方が少なくありませんが、実際には保険診療であれば自己負担が2,000円台に収まるケースもあります。逆に自費診療を選ぶと10倍以上の費用差が生じることもあり、同じ治療でも選択肢によって家計へのインパクトが大きく変わります。
本記事を読むことで、読者は1) 自分の症状ならいくら掛かるのかを具体的に把握し、2) 痛みや腫れを最小限に抑える方法を知り、3) 透明性の高い歯科医院を見極める判断軸を得られます。費用面の不安が解消されれば、仕事や学業への影響も事前に計画でき、治療をためらう理由が一つ減るはずです。
ここから先は、まず抜歯費用の内訳をシンプルに分解し、保険適用で何がカバーされるのかを数字で確認します。次に、自費診療に切り替わる場面と追加料金が発生するポイントを整理し、最後に医療費控除や病院選びで賢くコストを抑える具体策まで掘り下げます。「思ったより安い」を現実のものにするための情報を、順を追ってお届けします。
親知らずとは?その特徴と抜歯が必要なケース
親知らずは「生えてきたら抜くもの」と漠然とイメージされがちですが、実際は抜歯が必須となるケースと現状維持で問題ないケースが明確に分かれています。本章では、まず親知らず自体の特徴を押さえたうえで、どのような状態なら抜歯を検討すべきか、さらに放置すると何が起こり得るのかを段階的に整理します。読後には「自分の場合はどう判断すればいいのか」を具体的にイメージできるようになります。
親知らずの基本情報
親知らずは正式名称を第三大臼歯といい、奥歯のさらに一段奥に位置する最終萌出歯です。多くの人は10代後半から20代前半にかけて萌出しますが、30代でようやく顔を出す方や、一生生えない方もいるなど個人差が大きい歯として知られています。統計的にはおよそ4人に1人は一本も親知らずが生えません。
親知らずが厄介とされる理由の一つは、その解剖学的位置です。咬合列の最後尾にあるため歯ブラシやデンタルフロスが届きにくく、プラーク(歯垢)が停滞しやすい環境にあります。結果として虫歯や歯周病のリスクが第一・第二大臼歯より高まります。また、周囲歯肉との形態的な隙間には細菌が繁殖しやすく、智歯周囲炎と呼ばれる炎症を起こしやすいのも特徴です。
生え方にもバリエーションがあります。歯冠がまっすぐに萌出し、上下でしっかり咬み合う“正常萌出”はむしろ少数派で、多くは斜めや水平に傾いた状態で骨や歯肉に埋まっています(埋伏智歯)。傾斜の程度はX線画像で判定し、歯根がどの方向に伸びているかも合わせて把握します。水平埋伏の場合は前方の第二大臼歯を強く圧迫するため、早期対応が推奨される代表的パターンです。
抜歯が必要になるケース
抜歯を検討する基準は大きく分けて「症状の有無」「将来的リスク」「他治療との兼ね合い」の三つです。まず症状面では、繰り返す腫れやズキズキした痛み、膿が出る、口が開きにくいといった智歯周囲炎の兆候がある場合、早期抜歯が第一選択となります。さらに歯冠周囲に嚢胞(袋状病変)が形成されている場合や、隣接歯の根を圧迫して吸収を引き起こしている場合も手術的介入が不可欠です。
症状がなくても、矯正治療やインプラント埋入を計画している際には親知らずが障害物になることがあります。たとえば下顎のインビザライン矯正では、水平埋伏智歯があると歯列を後方に動かせないため、治療前に抜歯を行うことが多いです。インプラントでも、骨造成スペース確保のために抜歯を推奨されるケースが典型です。
生活面への影響も無視できません。就寝中に疼痛で目が覚める、咀嚼時に違和感が強い、慢性的に口臭が気になるといった状況は、仕事や人間関係のストレス要因になります。特に口臭は智歯周囲炎の膿が原因となる場合が多く、口臭ケア商品では根本解決に至りません。
最終的な抜歯判断はレントゲン(パノラマ)やCTで歯根形態と下歯槽神経の位置関係を確認したうえで行います。痛みがない状態でも画像上で骨吸収や嚢胞の兆候が見られる場合には、発症前に抜歯しておくことで大規模な外科処置を回避できることがあります。
親知らずが引き起こすトラブル
代表的なトラブルは虫歯と智歯周囲炎です。親知らず自体が虫歯になるだけでなく、手前の第二大臼歯の歯頸部(歯と歯茎の境目)に汚れが溜まり二次的に虫歯を誘発します。特に水平埋伏では、手前の歯がレントゲン上で“えぐれた”形になって初めて気付くことも珍しくありません。
智歯周囲炎が進行すると、顎下リンパ節が腫れ、高熱や嚥下困難を伴う蜂窩織炎へ移行する可能性があります。膿瘍が口底部に波及した場合は緊急入院のうえで点滴抗生剤投与や切開排膿が必要です。若年層では稀ですが、糖尿病など全身疾患を持つ方では敗血症へ進行するリスクも報告されています。
歯列全体への影響としては、埋伏智歯が隣接歯を前方へ押し出すことで歯並びが乱れ、矯正治療後の後戻りを引き起こすことがあります。また、噛み合わせバランスが崩れることで顎関節症状(関節雑音や開口時痛)が出るケースもあります。
社会生活への影響という観点では、頬が大きく腫れることで接客業や営業職の方が数日間マスクを外せない、会話がしづらく電話対応に支障が出る、発熱で欠勤せざるを得ないなど仕事上の損失につながる場面も多いです。アンケート調査では、智歯周囲炎経験者の約35%が「業務に支障が出た」と回答しており、単なる歯の問題に留まらないことがわかります。
親知らず抜歯の費用と保険適用の仕組み
親知らずの抜歯費用は「保険診療」と「自費診療」の二本立てで成り立っています。健康保険証を提示して治療目的で抜歯を行う場合、多くのケースは保険診療として3割負担で計算されるため、想像より低コストで済むのが実情です。一方、審美目的や追加オプションを求める場合は自費診療となり、医院ごとに設定された金額を全額自己負担します。まずは、この二つの制度がどのように費用を決めているのか全体像を理解しましょう。
保険診療は全国一律の診療報酬点数表が基準になっています。点数は診察、検査、手術、薬剤など行為ごとに細分化され、患者負担はその合計点数の3割です。したがって、歯科医院を変えても金額に大きな差は生じません。これに対し、自費診療は医院が自由に価格を設定できるため、同じ処置でも数万円単位で差が出ることがあります。
次の章からは保険診療と自費診療それぞれの費用詳細を掘り下げ、最後に両者の違いを整理します。自身のケースがどちらに当てはまるのかを念頭に読み進めてください。
保険診療での抜歯費用
健康保険3割負担を前提にした親知らず抜歯の費用は、抜歯難易度によって大きく二つに分かれます。歯がまっすぐ生えており、骨を削らずに鉗子だけで抜ける「単純抜歯」はおよそ2,000円前後です。これには診察料、局所麻酔料、処方される抗生剤・鎮痛薬の薬剤費が含まれます。骨を一部削り歯を分割して取り出す「難抜歯(水平埋伏を含む)」の場合は3,000円〜3,500円程度が目安です。
本数が増えると総額も比例しますが、保険診療には点数に上限があるため、4本まとめて抜歯しても概算24,630円(3割負担)で頭打ちになります。つまり、1本ずつ複数日に分けて抜くより一度に処置したほうが総額を抑えられる場合もあります。
追加検査費用が発生する条件も押さえておきましょう。パノラマX線のみで情報が足りないと判断された場合、CT撮影が必要になり約4,500円(3割負担)が加算されます。また、抗凝固薬を内服中で出血リスクが高いなど全身管理が求められる患者では、簡易血液検査が行われることがあり数百円〜1,000円程度の負担増となります。
金額イメージを具体的に示すと、以下のような試算が可能です。①単純抜歯1本+パノラマX線:合計約2,500円。②難抜歯1本+CT撮影:合計約7,800円。③難抜歯4本同日+CT撮影:合計約24,000円。いずれも3割負担・薬剤費込の概算で、実際には地域差・再診料の有無などで数百円前後します。
保険適用になる条件は「疼痛、炎症、嚢胞形成、予防的抜歯による周囲組織の保護」が明確に認められる場合です。単に審美目的で抜きたい、あるいは本人の希望だけで健康な歯を抜く場合は保険対象外となるため注意してください。
自費診療の場合の費用
健康保険に未加入、あるいは審美や利便性を重視して自費診療を選ぶと、親知らず1本あたり2万円〜3万円が相場です。これは診察・検査・手術・薬剤すべてを自由診療価格で計算した総額であり、診療報酬点数という上限が存在しません。医院によっては術前カウンセリング料や薬代が分割請求されるケースもあるため、見積書で内訳を必ず確認しましょう。
高額化しやすい要因として代表的なのが静脈内鎮静法の併用です。点滴で麻酔薬を投与し半分眠った状態で施術する方法で、通常の局所麻酔に加え77,000円前後が加算されます。また、完全に骨の中に埋まった埋伏智歯は手術難度が高く、手技料として1本あたり+1万円前後の加算が設定されることも珍しくありません。
支払い方法は現金一括のほか、クレジットカードや医療ローン、院内分割に対応している医院が増えています。いずれの方法でも領収証を保管しておくと、後述する医療費控除の申請で税金が戻る可能性があります。自費診療分も控除対象になるため、レシートではなく正式な領収証を必ず受け取ってください。
自費診療を選択するメリットは、予約の自由度が高く待ち時間が短い、静脈内鎮静や笑気麻酔など麻酔オプションを自由に選べる、同日に4本まとめて抜歯できるなど時間効率が優れている点です。一方で、費用負担が一気に跳ね上がる、保険診療よりも術後フォローが有料オプションになりやすいといったデメリットもあります。自身のスケジュールと予算を秤にかけて選択しましょう。
保険適用と自費診療の違い
両者の違いを端的にまとめると、費用の決定基準・麻酔の選択肢・治療体験の自由度という三点に集約されます。保険診療は公定価格で費用が頭打ちになる代わりに、局所麻酔が基本で処置時間も保険点数内に収める必要があります。自費診療は価格上限がないものの、静脈内鎮静やレーザーナイフなど最新機器を組み合わせたカスタマイズが可能です。
例えば、横向きに埋まった親知らずを抜くケースを時系列で比較してみましょう。保険診療では1回目の受診でパノラマX線と診断、2回目に抜歯、3回目に消毒・抜糸と計3回通院が標準的です。自費診療の場合、初診日にCT撮影と静脈内鎮静のカウンセリングを行い、そのまま4本同時抜歯まで完了する医院も存在します。結果として、通院回数は1〜2回に短縮できる一方、費用は20万円前後に跳ね上がるというわけです。
予約の取りやすさも体験を左右します。保険診療主体の病院では土日や夜間の枠が限られることが多く、最短でも数週間待ちになることがあります。自費診療の専門クリニックは自由診療収入で運営されるため、平日夜間や休日の予約枠を豊富に確保し、患者の都合に合わせたスケジュールを提案できる点が強みです。
以上を踏まえると、「費用を抑えたい・通院回数が多少増えても問題ない」人は保険診療、「仕事が忙しく休めない・痛みや不安を最小限にしたい」人は自費診療を選ぶと後悔が少なくなります。次章では、ここまでの制度差を踏まえたうえで具体的に費用を節約するテクニックを紹介します。
親知らず抜歯のプロセスと注意点
親知らずの抜歯は、診察・手術・アフターケアという三つの段階に分かれます。各段階で求められる対応が異なるため、全体像を把握しておくと心構えができ、結果として痛みや腫れを最小限に抑えられます。
まずは口腔外科医による詳細な検査で抜歯の難易度とリスクを評価し、安全な治療計画を立てます。次に実際の抜歯手技では、歯の生え方や患者さんの状態に合わせて最適な方法と麻酔を選択し、組織への侵襲を最小限に抑えます。最後に術後ケアを適切に行うことで、ドライソケットや細菌感染などの合併症を予防し、早期回復を目指します。
これらのステップを順守することで、仕事や日常生活への影響を抑えながら安全に親知らずを取り除けます。以下で各段階を具体的に見ていきましょう。
抜歯前の検査と診察
親知らず抜歯の成否は、実は手術そのものより事前の検査・診察で決まると言われます。まず行うのは問診です。痛みの有無、腫れの経過、既往歴、アレルギーなどを細かく聞き取ることで、抜歯当日の麻酔選択や術後管理方針を固めます。
続いて視診では、口を開けた状態で歯肉の腫脹や膿の排出口(フィステル)を確認し、炎症の広がりを把握します。ここで歯茎が赤く盛り上がっていれば智歯周囲炎が疑われ、優先的に治療が必要です。
画像検査はパノラマX線が基本です。顎全体を一枚で写すため、親知らずの位置関係を俯瞰できます。ただし水平埋伏や完全埋伏の場合は、歯の根が下歯槽神経管にどの程度接近しているかを三次元的に把握する必要があります。そこでCT(コンピュータ断層撮影)が用いられ、断面画像から歯根形態や神経管との距離をミリ単位で計測します。
問診と画像所見が出そろったら、麻酔の既往歴や現在の服薬状況、糖尿病・高血圧などの全身疾患をチェックします。これは医科との連携が必要なケースを見逃さないためで、たとえば血液をさらさらにする薬を服用中の場合は、止血方法や投薬調整を内科医と相談します。
最後に抜歯難易度を判定します。具体的には歯根の湾曲度、根尖部の拡がり、そして下歯槽神経管との距離がポイントです。根が複雑に曲がっている、あるいは神経に接している場合は、分割抜歯や骨削除量の増加が予測されるため、術中の神経保護策をあらかじめ準備します。
抜歯の方法と麻酔の種類
親知らずの抜歯方法は大きく単純抜歯、水平埋伏抜歯、そして分割法の三つに分類されます。単純抜歯は歯冠が十分に見えているケースで行われ、専用のペンチ状器具(エレベーターとフォーセップ)で歯を揺らしながら取り出します。所要時間は10分前後と最も短いのが特徴です。
水平埋伏抜歯は、歯が横向きに埋まっている難症例に用いられます。歯肉を切開し、骨を少量削って歯冠を露出させた後、周囲の骨壁をさらに取り除いて抜去します。術野を拡大するサージテル(歯科用ルーペ)やピエゾサージェリー(超音波骨切削器)を併用すると、視認性が高まり周囲組織へのダメージを抑えられます。
分割法は、歯根が複雑に分岐している、あるいは神経に接近している場合に選択される手技です。歯冠をカットして複数のピースに分け、順番に摘出するため、神経損傷のリスクを低減できます。時間は30〜60分を要しますが、安全性を優先する場面で有効です.
麻酔法は主に局所麻酔、伝達麻酔、静脈内鎮静の三種類があります。局所麻酔は注射した周辺のみをしびれさせる基本手技で、効果持続は約60〜90分。伝達麻酔は下顎枝にある神経の太い幹をブロックする方法で、奥歯全体をしびれさせるため広範囲に作用します。静脈内鎮静は点滴から鎮静薬を投与し、半分眠ったようなリラックス状態をつくる方法です。意識は保ちながら痛みや恐怖心をほぼ感じなくなるため、難抜歯や歯科恐怖症の方に適しています。
痛みを最小化するテクノロジーも進化しています。コンピューター制御注射器は一定速度で麻酔薬を注入するため、組織圧の変化が少なく“チクッ”とした痛みを軽減できます。表面麻酔ジェルで粘膜をしびれさせてから注射を行えば、針の刺入時もほとんど感じません。さらに体温と同じ37℃に温めたカートリッジを使用すると、麻酔液が入る際の異物感も和らぎます。
抜歯後のケアと注意点
抜歯が終わったら、まず30分ほどガーゼをしっかり咬んで圧迫止血を行います。当日は血流を増やす行動—激しい運動や長風呂、熱い飲食—を避け、患部を冷やすことで腫れを抑えます。
痛みが出始めるのは麻酔が切れる2〜3時間後です。処方されたロキソプロフェンを6時間おきに、どうしても痛む場合はアセトアミノフェンを併用しても構いません。ただし併用間隔が短いと肝機能に負担がかかるため、服用スケジュールを必ず確認してください。
ドライソケット予防には血餅(けっぺい)を守ることが最重要です。強いうがい、ストローでの吸飲、喫煙は陰圧で血餅が剥がれやすくなるため禁止です。食事は当日〜翌日はスープやヨーグルトなど流動食、2〜3日目はうどんやオムレツなど軟食にすると傷口に負担がかかりません。
術後1週間で抜糸、2週間で腫れがほぼ引くのが一般的な経過です。腫れのピークは48時間後に来るため、そのタイミングで仕事のプレゼンや重要な会議を避けるスケジューリングが無難です。デスクワークなら翌日、接客業や長時間の会話が必要な職種は2〜3日後からの復帰が目安になります。
最後に、異常な痛みが続く、大量出血が止まらない、発熱が出た場合は自己判断せずすぐに受診してください。早期対応が合併症を防ぎ、結果として回復期間を短縮します。
親知らず抜歯費用を抑える方法
親知らずの抜歯は医療行為であるため、最低限の安心と安全を確保しつつも、賢く手続きを進めれば出費を大幅に抑えられます。このセクションでは「制度を味方につける」「保険点数の仕組みを理解する」「専門家と協働してムダな処置を省く」という三つの視点から節約の具体策を整理します。
まず、国税庁が認める医療費控除は確定申告で税金の還付を受ける代表的な方法です。次に、健康保険適用内で請求額を最小化するテクニックとして、診療報酬ルールに沿った受診タイミングや紹介状の活用があります。最後に、費用透明性の高い歯科医師を選ぶことで、術後に想定外の請求が発生するリスクを下げられます。
これらはどれか一つを行えば良いのではなく、併用することで効果が最大化します。以下で具体的に解説していきましょう。
医療費控除の活用
医療費控除とは、年間の医療費が十万円または所得の五パーセントを超えた場合に、その超過分を課税所得から差し引ける制度です。親知らず抜歯は「治療を目的とした歯科手術」に該当するため、所得税法第七十三条に基づき控除対象となります。
活用には三つの書類が欠かせません。ひとつ目は領収証と診療明細書で、処方薬や麻酔費も含めて保管します。ふたつ目は通院にかかった公共交通機関の料金メモで、日付と金額を記録しておくと確定申告書の「通院費」欄にそのまま記入できます。みっつ目は源泉徴収票で、還付額計算に必要です。
確定申告の流れは次の通りです。①国税庁サイトまたは税務署で医療費控除用の明細書を取得し、領収証の金額を項目ごとに転記する。②還付金受取口座を入力し、添付書類台紙に領収証を貼付する。③完成した申告書一式を税務署へ提出またはe-Taxで送信する。マイナンバーカードを持っていればe-Taxの方が手数料ゼロでスムーズです。
節税効果をシミュレーションしてみましょう。年収五百万円・課税所得約三百八十万円の会社員が、医療費二十万円(うち親知らず抜歯八万円)を支払ったケースでは、控除対象額は二十万円から十万円を引いた十万円です。所得税率は二〇パーセントなので、還付額は約二万円になります。住民税にも同様の控除が適用されるため、トータルではさらに効果が大きくなります。
注意点として、美容目的でホワイトニングやガミースマイル治療を同日に受けた場合、その費用分は控除対象から除外されます。また、自費診療でも治療行為であれば控除可能ですから、領収証は金額の大小にかかわらず一年間保存しておくと安心です。
保険診療を最大限活用する
保険診療内でのコスト削減は、診療報酬制度に沿って受診計画を立てることがポイントです。まず、歯科口腔外科を併設する総合病院や大学病院を選ぶことで、パノラマX線とCT撮影を同日に実施しやすくなります。検査日が分散すると初診料や再診料が重複計上されるため、一日で完結させると数千円単位で節約できます。
次に紹介状の活用です。かかりつけ歯科から病院へ紹介される場合、病院側の初診料が「選定療養費」の対象外となり、約三千円の追加負担を回避できます。紹介状には現在の口腔内写真や既存レントゲン画像を添付してもらうと、重複撮影も防げて一石二鳥です。
さらに、平日九時から十七時の受診を選ぶことで時間外加算を避けられます。急性症状がなく予約が可能な状態なら、土日・夜間診療は避けるだけで加算分を抑制できます。また、月初めより月末の受診では、同月内に再診が入っても再診料は一回で済むケースがあり、通院予定が読める人には有効です。
最後に、投薬は院外処方を選択しましょう。院内よりジェネリック医薬品を扱う調剤薬局の方が薬価差益を反映しやすく、薬代を数百円下げられることがあります。こうした小さな積み重ねが、結果として大きな節約につながります。
信頼できる歯科医師に相談する
費用面でのトラブルを避けるうえで、透明性の高い歯科医師選びは欠かせません。チェックリストとして「口腔外科専門医認定」「歯科麻酔認定医の常駐」「治療費と内訳を事前提示」「合併症発生率の公開」の四項目を確認するだけで、信頼度は大きく変わります。
カウンセリングでは、次の質問を用意しておくと意思疎通がスムーズです。①抜歯難易度はどの分類に該当するか、②神経損傷やドライソケットのリスクはどの程度か、③総費用の上限と追加費用が発生する条件は何か。これらを明確に答えられる医師は、診療計画を体系的に把握しています。
セカンドオピニオンを求める場合、口コミサイトの情報を鵜呑みにせず、医療広告ガイドラインに基づいた公式サイトや学会リストを参照しましょう。過度に安さを強調する広告はステルスマーケティングの可能性があり、実際には追加費用が膨らむケースが散見されます。
最終的には「予後説明が具体的であること」「治療オプションを複数提示してくれること」も重要です。これらを踏まえて医院を選定すれば、費用面の不確定要素を最小限に抑え、安全かつ納得感のある抜歯が期待できます。
親知らずでお悩みの場合は一度、口腔外科認定医在籍のおおもり北口歯科へご相談ください。
親知らず抜歯に関するよくある質問
親知らずの抜歯を検討するとき、最も多く寄せられるのは「痛み」「本当に抜くべきか」「費用はどこまで上がるのか」という三つの疑問です。この章ではそれぞれを個別に深掘りし、科学的データと臨床現場の具体例を交えてわかりやすく解説します。疑問をクリアにすることで、治療前の心理的ハードルをぐっと下げることができます。
抜歯は痛いのか?
痛みを語るには「麻酔中」「術中」「術後」の三つのフェーズに分けると整理しやすくなります。まず麻酔中は、針を刺す瞬間のチクッとした刺激が発生源です。最近はコンピューター制御注射器が普及し、注入速度を一定に保つことで圧痛を大幅に軽減できます。さらに表面麻酔(塗るタイプの麻酔薬)を先に塗布すると、皮膚感覚が鈍化し針の刺入感そのものを感じにくくなります。
術中は局所麻酔が効いているため、多くの患者さんが「押される感覚はあるが痛みはない」と表現します。痛みの強さを0~100で評価するVAS(Visual Analog Scale:視覚的疼痛評価スケール)では、平均10以下にとどまる報告が主流です。これは蚊に刺されたあとのかゆみ程度と例えるとイメージしやすいでしょう。
術後は麻酔が切れ始める2~3時間後から痛みがピークを迎えます。ただし近年は「予防的鎮痛投与」という手法が一般化しています。抜歯直後にロキソプロフェンなどの鎮痛薬を服用し、痛みが発生する前から炎症物質をブロックする方法です。この先制攻撃型の服薬で術後24時間のVASは平均25程度に収まり、アイシングを併用するとさらに低く抑えられます。
家庭でできる追加対策として、患部を冷却材で15分冷やし15分休むサイクルを2時間続ける方法が効果的です。冷やしすぎは血流を悪化させるため、必ず休止時間を入れるのがポイントです。また、就寝前に枕をやや高くして頭部を心臓より上に保つと、翌朝の腫れと痛みが軽減します。
抜歯は必ず必要なのか?
親知らずを残すか抜くかは、歯科医師でさえ最終判断に悩むテーマです。判断材料になるのは「咬み合わせ」「清掃性」「周囲組織への影響」の三つです。正常にまっすぐ生え、上下で正しく噛み合い、歯ブラシが届く状態なら保存も選択肢になります。このケースでは半年~1年ごとの経過観察と定期クリーニングで問題なく維持できます。
一方で抜歯を推奨する典型例は、斜めや水平に埋まっていて隣の第二大臼歯を圧迫している、あるいは智歯周囲炎を起こし繰り返し腫れる場合です。放置すると嚢胞が形成され顎骨を溶かす危険があるほか、隣接歯の虫歯や歯周病の原因にもなります。
タイミングも重要です。年齢が上がるほど骨が硬くなり、神経管との距離が近づく傾向があります。結果として抜歯難易度が上がり、術後の腫れや神経麻痺リスクが高くなるため、痛みや腫れが現れた時点で早期に判断する方が安全です。
診断時には「症状の有無」「年齢」「全身疾患」「今後の矯正治療計画」などを歯科医師に伝えましょう。これらの情報をもとにリスクとメリットを数値化し、患者自身が納得できる形で意思決定することが最も大切です。
費用が高くなる可能性は?
親知らず抜歯の基本費用は保険診療で2,000~3,500円程度ですが、状況によって数倍に跳ね上がることがあります。まず大きな要因は抜歯難易度です。完全埋伏智歯で骨削除量が多い場合、時間と手技が複雑化するため追加点数が発生します。さらに下顎管という太い神経管に近接しているケースでは、術中に神経損傷を防ぐためCT撮影が必須になり、撮影料が上乗せされます。
麻酔法もコストを左右します。局所麻酔のみなら追加費用はほぼありませんが、静脈内鎮静法を選択すると通常料金に加えて約77,000円が加算されます。全身麻酔や入院管理が必要な場合は、手術室利用料や血液検査料まで含めて10万円以上になることも珍しくありません。
保険外材料の使用にも注意が必要です。たとえば吸収性縫合糸やコラーゲンスポンジなどは自費扱いになり、1,000~5,000円程度が追加されます。さらに再診回数が増えると、その都度再診料と処方料が積み上がります。炎症が長引くと通院が1~2回から5回以上に増えることもあり、合計で1万円以上差が出ることがあります。
見積書を受け取ったら、1) 基本診療費、2) 追加手術費、3) 麻酔費、4) 検査費、5) 材料費、6) 再診料の六項目に分けてチェックしましょう。それぞれの数値を確認すれば、どこに費用が集中しているかが一目でわかり、不要なオプションを削る判断もしやすくなります。
監修者
神奈川歯科大学卒業後、中沢歯科医院 訪問歯科治療担当
医療法人社団葵実会青葉歯科医院 分院長就任
シンタニ銀座歯科口腔外科クリニック 親知らず口腔外科担当
医療法人社団和晃会クリーン歯科 分院長就任
医療法人社団横浜駅前歯科矯正歯科 矯正口腔外科担当
医療法人社団希翔会日比谷通りスクエア歯科
おおもり北口歯科 開業
昭和大学口腔外科退局後は、昭和大学歯学部学生口腔外科実習指導担当経験 また、都内、神奈川県内の各歯科医院にて出張手術担当。
【所属】
・日本口腔外科学会
・ICOI国際インプラント学会
・日本口腔インプラント学会
・顎顔面インプラント学会
・顎咬合学会
・スポーツ歯科学会
・アメリカ心臓協会AHA
・スタディーグループFTP主宰
【略歴】
・神奈川歯科大学 卒業
・中沢歯科医院 訪問歯科治療担当
・医療法人社団葵実会青葉歯科医院 分院長就任
・シンタニ銀座歯科口腔外科クリニック 親知らず口腔外科担当
・医療法人社団和晃会クリーン歯科 分院長就任
・医療法人社団横浜駅前歯科矯正歯科 矯正口腔外科担当
・医療法人社団希翔会日比谷通りスクエア歯科



