インプラント手術後の食事メニュー。当日〜1ヶ月の安心レシピ集

東京都大森駅徒歩50秒の歯医者・歯科「おおもり北口歯科」です。

インプラント手術は、失われた歯を取り戻し、再び食事を楽しむための素晴らしい治療法です。しかし、手術後の食事については、多くの患者様が不安や疑問を抱えています。特に、「いつから何を食べられるのか」「どんな料理なら回復を妨げないのか」といった具体的な情報は、治療の成功と早期回復に欠かせません。

この記事では、インプラント手術当日から1ヶ月後までの期間を追いながら、各時期に適した食事の内容や、誰でも簡単に実践できる安心レシピ、そして避けるべき飲食物について詳しく解説します。適切な食事管理は、術後の痛みや腫れを最小限に抑え、傷口の回復を促進するだけでなく、インプラントが顎の骨としっかりと結合し、長期的に安定するための重要な要素です。回復段階に合わせた食事プランを理解し、毎日の食生活に取り入れることで、不安なく栄養を摂取し、一日も早く「食べる楽しみ」を取り戻すためのお手伝いをいたします。

目次

なぜインプラント手術後の食事が大切なのか?

インプラント手術後の食事は、単に「痛みを避けるため」だけではありません。インプラント治療を成功させ、その効果を長く維持するためには、術後の適切な食事管理が不可欠です。手術直後の食事は、「傷口の保護」「感染予防」「インプラントと骨の結合促進」という、主に3つの重要な目的を持っています。これらの目的を達成するための食事への配慮が、長期的に安定したインプラントを維持するための第一歩となるのです。

この時期の食事への意識は、インプラントが顎の骨にしっかりと結合し、やがて自分の歯のように快適に食事ができるようになる未来を左右します。不適切な食事は、インプラントの予後を悪化させるだけでなく、最悪の場合、治療が失敗に終わるリスクも高めてしまう可能性があります。これから詳しく解説する各期間の食事ガイドを参考に、ご自身の回復状況に合わせた適切な食事管理を実践してください。

傷口の保護と感染予防のため

インプラント手術によって作られた歯茎の傷口は、非常にデリケートな状態です。この傷口は、硬い食べ物や刺激の強い食べ物が物理的に接触すると、縫合した糸が切れてしまったり、傷口が開いてしまったりするリスクがあります。傷口が再び開いてしまうと、回復が遅れるだけでなく、さらなる痛みや腫れを引き起こす原因にもなりかねません。

また、食べ物のカスが傷口に入り込むことも、感染症を引き起こす大きなリスクとなります。細菌が繁殖しやすい環境ができてしまうと、炎症が悪化し、インプラント周囲炎といった深刻な合併症につながる可能性も出てきます。清潔な状態を保ち、傷口に負担をかけない食事が、痛みや腫れを長引かせず、スムーズな治癒へと導くために非常に重要なのです。

インプラントと骨の結合をスムーズに進めるため

インプラント治療の成功において最も重要なプロセスの一つに「オッセオインテグレーション(骨結合)」があります。これは、埋入されたインプラントと顎の骨がしっかりと結合することを指します。手術直後のインプラントはまだ骨と結合しておらず、不安定な状態です。この時期に硬いものを噛むなどしてインプラントに過度な力が加わると、骨との結合が妨げられてしまうことがあります。

もし骨結合がうまく進まなければ、インプラントが顎の骨に定着せず、最悪の場合、抜け落ちてしまうリスクも考えられます。インプラントがしっかりと骨に結合し、安定した土台を築き上げるためにも、安静期間中に食事内容に配慮することは非常に重要です。この丁寧な食事管理が、将来的にご自身の歯のようにしっかりと噛んで食事ができるようになるための、大切なステップとなることを忘れないでください。

【時期別】インプラント手術後の食事ガイドと安心レシピ

インプラント手術後の回復は段階的に進むため、食事もそれに合わせて調整していくことが大切です。この章では、手術当日からの期間を「手術当日〜翌日」「手術後2日〜1週間」「手術後1週間〜1ヶ月」の3つのステージに分けて、それぞれの時期に最適な食事プランを詳しくご紹介します。いつ、何を、どのように食べれば良いのかという具体的な疑問にお答えするため、各ステージでの食事のポイントと、誰でも簡単に作れる安心レシピを提案します。このガイドを参考に、不安なく食事管理を実践し、一日も早い回復を目指しましょう。

手術当日〜翌日:流動食やペースト状の食事

インプラント手術直後のこの時期は、傷口が非常にデリケートな状態です。食事の目的は、傷口への刺激を最小限に抑えつつ、体の回復に必要な栄養をしっかりと摂取することです。まだ硬いものは避け、消化しやすく、噛む必要のない流動食やペースト状の食事が中心となります。

食事を始めるタイミングと注意点

手術後、初めての食事は、歯科医院で受けた麻酔が完全に切れてから始めるのが基本です。麻酔が効いている間に食事をすると、誤って唇や舌を噛んでしまったり、熱さを感じにくく火傷をしてしまったりするリスクがあるためです。麻酔が切れて感覚が戻ってから、ゆっくりと食事を始めましょう。

食事の際の注意点として、まず「手術した側とは反対の歯で噛むこと」を意識してください。これは、傷口への物理的な刺激を避けるためです。また、「ストローは使わないこと」も非常に重要です。ストローで吸い込む動作は、口の中に陰圧を発生させ、傷口の血の塊(血餅)が剥がれてしまうリスクがあります。血餅は傷口を保護し、治癒を促す大切な役割を持つため、剥がれてしまうと出血や痛みが再発したり、ドライソケットと呼ばれる状態になったりする可能性があります。さらに、熱すぎるものは血行を促進し、出血や腫れを悪化させる可能性があるため、「人肌程度の温度のものを摂ること」も心がけましょう。

おすすめの食事と簡単レシピ

手術当日〜翌日は、噛まずに飲み込める流動食やペースト状の食事が最適です。具体的には、冷たいスープ(例えば、ビシソワーズやかぼちゃの冷製スープ)、具のない茶碗蒸し、プレーンヨーグルト、ゼリー飲料、野菜や果物のスムージーなどがおすすめです。これらの食品は、口の中の刺激が少なく、消化にも優しいため、体への負担を軽減できます。

手軽に栄養を摂取できるレシピとして、「栄養満点野菜ポタージュ」をご紹介します。玉ねぎ、人参、じゃがいもなどを柔らかく煮込み、ミキサーでなめらかになるまで撹拌します。牛乳や豆乳を加えれば、手軽にタンパク質も補給でき、栄養バランスが向上します。さらに、コンソメや塩で味を調えれば、温かくても冷たくても美味しくいただけます。食事が困難な状況でも、こうした工夫で必要な栄養をしっかりと確保し、体力回復をサポートしましょう。

手術後2日〜1週間:やわらかい食事へ移行

手術から数日が経過し、痛みや腫れが落ち着いてくるこの時期は、流動食から少しずつ固形物に慣れていく段階です。引き続き傷口への配慮は必要ですが、食事の選択肢を広げ、栄養バランスを意識したやわらかい食事へと移行していきます。

この時期の食事のポイント

手術後2日目から1週間の食事は、舌やスプーンで簡単につぶせるくらいの「やわらかさ」が目安です。まだ傷口が完全に治っているわけではないため、無理に噛む必要はありません。手術した側とは反対の歯でゆっくりと食べ、食べ物を小さく切るなど工夫して、噛む回数を減らすことを心がけましょう。

引き続き、食後は優しく口をゆすぎ、口腔内を清潔に保つことが重要です。食べ物のカスが傷口に入り込むと感染のリスクが高まるため、毎食後、処方されたうがい薬や刺激の少ない洗口液で丁寧にケアしてください。焦って通常の食事に戻そうとせず、体の回復に合わせて少しずつ食事の形態をステップアップさせていくことが、順調な治癒とインプラントの安定につながります。

おすすめの食事と安心レシピ

この時期には、おかゆ、やわらかく煮込んだうどん、湯豆腐、スクランブルエッグ、白身魚の煮付け、マッシュポテトなどがおすすめです。これらの食材は、やわらかく調理しやすく、栄養も摂れるため、回復期の体に優しい食事となります。

おすすめのレシピとして、「鶏そぼろと卵の三色丼(やわらか仕上げ)」をご紹介します。鶏ひき肉は細かく炒めてそぼろにし、卵はスクランブルエッグ状にふわふわに仕上げます。そこに、だし汁でやわらかく煮込んだほうれん草や小松菜などの野菜を細かく刻んで加えれば、見た目も鮮やかで栄養満点な一品になります。ご飯もやわらかめに炊いたものや、おかゆ状にすれば、ほとんど噛む力を必要とせず、美味しくいただけます。食材を細かく刻んだり、水分を多めにしたりする調理のコツを取り入れることで、無理なく食事を楽しむことができるでしょう。

手術後1週間〜1ヶ月:少しずつ普段の食事へ

抜糸も終わり、傷口がかなり安定してくるこの時期は、食事の幅が大きく広がる時期です。しかし、インプラントが顎の骨と完全に結合するまでにはまだ時間がかかるため、油断は禁物です。引き続き、無理のない範囲で、ゆっくりと普段の食事に近づけていきましょう。

食べられるものが増える時期の注意点

この時期からは、ある程度の固さのものを食べられるようになりますが、極端に硬い食べ物や粘着性の高い食べ物は引き続き避けるべきです。例えば、せんべいやナッツ類、フランスパンのような硬いパン、骨付き肉、そしてスルメのような噛み切りにくいものは、インプラントに過度な負担をかけ、骨との結合を妨げる可能性があります。また、餅やキャラメルのような粘着性の高い食品は、傷口や仮歯にまとわりつき、剥がす際にトラブルを引き起こすこともあるため注意が必要です。

食事をする際は、引き続き食材を小さく切る、ゆっくりとよく噛むといった工夫を続けることが大切です。もし問題がなければ、少しずつ手術した側でものを噛む練習を始めるタイミングでもありますが、その際は決して無理をせず、慎重に行うようにしてください。新しいインプラントに過度な力が加わらないよう、段階的に慣らしていくことが、長期的な安定には不可欠です。

おすすめの食事とアレンジレシピ

手術後1週間から1ヶ月の時期には、鶏のささみ、煮魚、ハンバーグ、ロールキャベツ、よく煮込んだカレーやシチューなど、比較的やわらかく調理された肉や魚、野菜をバランスよく取り入れることができます。これらのメニューは栄養価も高く、食事の満足感も得られやすいでしょう。

ここでは、家族と同じメニューを少しのアレンジで楽しめる「野菜たっぷり煮込みハンバーグ」をご紹介します。ひき肉で作るハンバーグは、通常よりもやわらかめに成形し、野菜と一緒にトマトソースなどでじっくり煮込むことで、さらに食べやすくなります。付け合わせの野菜も一緒に煮込めば、手間も省け、栄養も豊富に摂れます。ソースで煮込むことで全体がしっとりやわらかく仕上がり、噛む負担を軽減しながら、ご家族と一緒に食卓を囲む楽しみを取り戻せるでしょう。この時期は、食事の準備の負担を減らしつつ、食べる喜びを再発見するアイデアを取り入れていきましょう。

インプラント手術後に避けるべき食事・飲み物リスト

インプラントの回復期には、傷口の保護やインプラントと骨の結合を妨げないために、積極的に摂るべき食事と同様に、避けるべき飲食物を把握しておくことが非常に重要です。特定の食べ物や飲み物が、傷口への刺激、インプラントへの過度な負担、感染リスクの増大につながる可能性があります。ここでは、具体的にどのような飲食物を控えるべきか、その理由とともに分かりやすく解説します。

ご自身の食生活を振り返り、リスクを未然に防ぐためのチェックリストとして活用していただくことで、インプラント治療の成功とスムーズな回復をサポートできます。適切な食事管理を心がけ、安心して治療期間を過ごしましょう。

硬い食べ物・粘着性の高い食べ物

インプラント手術後の傷口がデリケートな時期には、硬い食べ物や粘着性の高い食べ物を避ける必要があります。ナッツ類、せんべい、フランスパン、骨付き肉、氷などは、未結合のインプラントに直接的なダメージを与えたり、骨との結合(オッセオインテグレーション)を妨げたりするリスクがあります。これらの食べ物を無理に噛むことで、インプラントが動いてしまい、最悪の場合、インプラントが定着しない原因となることもあります。

また、餅、キャラメル、ガムなどの粘着性の高い食べ物も避けるべきです。これらは傷口や仮歯に強く付着しやすく、剥がす際に傷口に負担をかけたり、仮歯が外れてしまったりする可能性があります。さらに、食べ物のカスが傷口に残りやすく、清掃が困難になるため、細菌が繁殖し、感染症を引き起こす危険性も高まります。

刺激の強い食べ物(辛い・酸っぱい・熱すぎる/冷たすぎる)

インプラント手術後のデリケートな傷口は、刺激に非常に敏感です。香辛料を多く使った辛い料理(カレー、キムチなど)は、傷口を刺激して炎症を悪化させたり、痛みを引き起こしたりする可能性があります。また、酢の物や柑橘類などの酸味が強いものも、傷口に直接触れると強い刺激となり、痛みやしみるような不快感を引き起こすことがあります。

極端に熱すぎるスープや飲み物、冷たすぎるアイスクリームなども、傷口の血管を拡張させたり収縮させたりすることで、出血や腫れを助長する原因となります。これらの刺激は、傷口の治癒を遅らせる可能性もあるため、回復が安定するまでは控えることが大切です。人肌程度の、体温に近い温度のものを摂るように心がけましょう。

控えるべき飲み物(アルコール・炭酸飲料など)

インプラント手術後は、特定の飲み物も控える必要があります。特にアルコールは、血行を促進する作用があるため、飲むと手術部位の出血や腫れを悪化させる可能性があります。また、処方されている抗生物質や痛み止めなどの薬の効果を弱めたり、副作用を強くしたりする危険性も指摘されています。治療をスムーズに進めるためにも、手術から少なくとも抜糸が終わるまでの期間は禁酒を徹底することが重要です。

炭酸飲料は、口内の二酸化炭素の泡が傷口を刺激する可能性があり、また酸味の強いジュースも傷口に刺激を与えることがあるため、避けた方が良いでしょう。これらの飲み物は、インプラント周囲のデリケートな組織に悪影響を及ぼす可能性があるため、回復が安定するまでは水やお茶などの刺激の少ないものを摂取し、必ず歯科医師の指示に従うようにしてください。

回復をサポート!積極的に摂りたい栄養素と食材

インプラント手術後の回復期は、食事制限がある中でどのように栄養を摂れば良いのか、頭を悩ませる方も少なくありません。しかし、この時期に特定の栄養素を意識して摂取することは、体の内側から傷の治癒を促し、骨の形成を助け、さらには感染への抵抗力を高めるために非常に重要です。この章では、インプラントの成功と早期回復に欠かせない主要な栄養素と、それらを効率的に摂取できる食材をご紹介します。やわらかく調理しやすく、日々の食事にすぐに取り入れられるアイデアを中心に提案しますので、ぜひ参考にしてください。

傷の治りを助ける「タンパク質」と「ビタミン類」

インプラント手術後の傷の修復と体力回復には、「タンパク質」と「ビタミン類」が不可欠です。タンパク質は、皮膚や粘膜、血管といった体組織を作る主成分であり、傷ついた箇所の再生を促し、疲労回復の基盤となります。特に、手術後は体が大きなダメージを受けているため、良質なタンパク質を積極的に摂ることが大切です。

摂取しやすいタンパク質源としては、卵、豆腐、牛乳、ヨーグルト、白身魚などが挙げられます。これらはやわらかく調理しやすく、胃腸への負担も少ないため、回復期の食事に適しています。たとえば、茶碗蒸しや湯豆腐、ヨーグルトドリンクなどは、手術直後からでも取り入れやすいでしょう。また、ビタミン類も傷の治癒には欠かせません。コラーゲンの生成を助け、歯茎の健康を保つ「ビタミンC」は、ブロッコリーやイチゴ、キウイなどに豊富です。粘膜を保護し、感染症への抵抗力を高める「ビタミンA」は、かぼちゃやほうれん草、人参などの緑黄色野菜に多く含まれます。さらに、血行を促進し、傷の治りをスムーズにする「ビタミンE」は、ナッツ類やアボカドに含まれますが、この時期は食べやすい調理法(ポタージュやスムージーなど)で工夫して摂取しましょう。

骨の健康に関わる「亜鉛」や「鉄分」

インプラント治療の成功の鍵は、インプラント体が顎の骨としっかりと結合すること、いわゆる「オッセオインテグレーション」です。この骨結合をサポートするために重要なミネラルが「亜鉛」と「鉄分」です。亜鉛は、細胞の再生を促し、免疫力を高める働きがあるため、傷口の治癒や新しい骨の形成に不可欠な栄養素とされています。牡蠣、レバー、卵などに多く含まれますが、この時期はペースト状にした牡蠣缶詰やレバーペースト、半熟卵などで効率的に摂取できます。

一方、鉄分は血液の材料となり、傷口へ酸素や栄養を運ぶ重要な役割を担っています。貧血を防ぐことはもちろん、体の隅々まで栄養が行き渡ることで、回復を力強く後押しします。鉄分が豊富な食材としては、ほうれん草や小松菜などの葉物野菜、レバーなどが挙げられます。野菜は細かく刻んだり、ミキサーにかけてポタージュにしたりすることで、食べやすくなります。これらのミネラルは、目に見えない体の内部で、インプラントが骨と強固に結びつくための土台作りを支えているため、意識的に食事に取り入れるようにしましょう。

食事以外に気をつけるべき生活習慣

インプラント手術後の順調な回復は、日々の食事管理だけでなく、生活習慣全体が大きく影響します。口腔ケアの方法、喫煙や飲酒の習慣、そして日中の身体活動など、食事以外にも見直すべき重要なポイントがあります。これらの生活習慣への配慮は、食事の効果を最大限に引き出し、術後のトラブルを未然に防ぐために不可欠です。

この章では、インプラント手術後の回復期に特に注意していただきたい生活習慣について詳しく解説します。適切なケアを実践することで、インプラント治療を成功させ、長期的な安定へとつなげていきましょう。

患部を避けた歯磨きとうがいの方法

インプラント手術後の口腔ケアは、感染予防のために非常に重要ですが、傷口を刺激しないよう細心の注意が必要です。歯磨きをする際は、まずやわらかい歯ブラシを選び、手術を受けた部位は避けて、他の健康な歯を丁寧に磨いてください。手術部位の周辺に歯ブラシが直接当たらないよう、慎重に行うことが大切です。

手術部位周辺の清掃には、歯科医院から処方されたうがい薬や、刺激の少ない洗口液を使用します。口に含んで、優しく全体に行き渡らせるようにうがいをしてください。特に注意していただきたいのは、「ぶくぶくうがい」のように強い水流でうがいをしないことです。強い水圧は、傷口を保護している「血餅(けっぺい)」を剥がしてしまうリスクがあり、出血や痛みの原因となる可能性があります。優しくゆすぐことを心がけ、清潔な状態を保ちながら傷口の回復を促しましょう。

喫煙と飲酒がインプラントに与えるリスク

インプラント治療において、喫煙と飲酒は治療の成功を大きく左右する要因となるため、手術後は特に控える必要があります。喫煙は、たばこに含まれるニコチンの作用で血管が収縮し、手術部位への血流や酸素供給が著しく低下します。これにより、傷の治りが遅れたり、感染リスクが高まったり、インプラントと骨の結合(オッセオインテグレーション)が妨げられたりする「インプラントの三大リスク」を引き起こす可能性が高まります。

一方、飲酒も術後の回復に悪影響を及ぼします。アルコールには血行を促進する作用があるため、飲むことで手術部位の出血や腫れが悪化するリスクがあります。また、歯科医院から処方された抗生物質や痛み止めなどの薬剤とアルコールが相互作用を起こし、薬の効果を弱めたり、副作用を増強させたりする危険性も考えられます。歯科医師から指示された期間、特に術後1〜2週間は、禁煙と禁酒を徹底することがインプラント治療を成功させるための必須条件であることを強く認識し、守るようにしてください。

激しい運動や長時間の入浴は控える

インプラント手術後は、身体活動についても注意が必要です。ジョギングや筋力トレーニングのような激しい運動、サウナや長時間の入浴などは、血行を促進しすぎてしまい、手術部位の出血や腫れを助長する可能性があります。そのため、術後数日間はこれらの活動を控え、安静に過ごすことが重要です。

基本的には安静が望ましいですが、軽い散歩程度の活動であれば問題ない場合が多いです。もし普段から運動の習慣がある方は、いつ頃から運動を再開できるかについて、自己判断せずに必ず担当の歯科医師に確認するようにしてください。無理のない範囲で体を休ませ、インプラントの治癒に専念することが大切です。

こんな時はすぐに歯科医師へ相談を

インプラント手術後の回復期間中は、体のさまざまな変化に気づくことがあります。ほとんどの症状は時間の経過とともに自然に軽くなりますが、中には注意が必要なサインも隠れています。万が一の時に落ち着いて対処できるよう、どのような症状が見られたら歯科医師に相談すべきかを知っておくことは非常に大切です。ご自身の判断で様子を見たり、不安を抱え込んだりせずに、何か異変を感じたらすぐに歯科医院へ連絡しましょう。

痛みが続く、またはぶり返す

インプラント手術後の痛みは、通常、歯科医院で処方される痛み止めでコントロールできる範囲にあります。手術から2〜3日後が痛みのピークとなることが多いですが、その後は徐々に和らいでいくのが一般的な経過です。しかし、痛み止めを飲んでも全く痛みが引かない、あるいは一度楽になった痛みが数日経ってから再び強くなってきた、という場合は注意が必要です。これは、傷口の感染やその他のトラブルが起きている可能性を示しています。このような症状が見られた際は、我慢せずに速やかに手術を受けた歯科医院へ連絡し、指示を仰ぐようにしましょう。

腫れや出血がなかなか引かない

手術後の腫れも、痛みに続く一般的な症状の一つです。腫れは術後48〜72時間後がピークとなり、その後は徐々に引いていくのが通常の経過です。また、手術当日や翌日に唾液にわずかに血が混じる程度の出血は問題ないとされています。しかし、3日以上経っても腫れが大きくなる一方である、または鮮やかな色の血がだらだらと止まらずに出続けるといった症状が見られる場合は、異常のサインである可能性が高いです。これらの症状に気づいた場合は、放置せずにすぐに歯科医師に相談し、適切な処置を受けるようにしてください。

まとめ:適切な食事管理で、インプラント後も食事の楽しみを取り戻そう

インプラント手術後の食事管理は、単に一時的な制限を乗り越えるだけでなく、治療の成功を確実なものにし、長期的な口腔の健康を維持するための積極的なプロセスです。この期間の食事への配慮は、インプラントが顎の骨としっかりと結合する「オッセオインテグレーション」をスムーズに進め、将来にわたって自分の歯のようにしっかりと噛める状態を築く上で欠かせません。

この記事では、手術当日から1ヶ月後までの時期に応じた食事の具体的なガイドライン、避けるべき食べ物や飲み物のリスト、そして回復を力強くサポートする栄養素と食材について詳しく解説しました。また、食事以外にも、正しい口腔ケアの方法や喫煙・飲酒のリスク、身体活動に関する注意点など、インプラント治療を成功させるために重要な生活習慣についてもご紹介しました。術後の一定期間は食事や生活に制約があるかもしれませんが、ここでご紹介した情報をもとに適切なケアを続けることで、やがて「食べる楽しみ」を存分に取り戻し、豊かな食生活を送ることができるでしょう。不安なことや気になることがあれば、決して自己判断せず、担当の歯科医師に相談することが何よりも大切です。安心して回復期間を過ごし、インプラントによる新しい生活を満喫してください。

 

監修者

菊池 雄一 | Kikuchi Yuichi

神奈川歯科大学卒業後、中沢歯科医院 訪問歯科治療担当
医療法人社団葵実会青葉歯科医院 分院長就任
シンタニ銀座歯科口腔外科クリニック 親知らず口腔外科担当
医療法人社団和晃会クリーン歯科 分院長就任
医療法人社団横浜駅前歯科矯正歯科 矯正口腔外科担当
医療法人社団希翔会日比谷通りスクエア歯科
おおもり北口歯科 開業
昭和大学口腔外科退局後は、昭和大学歯学部学生口腔外科実習指導担当経験 また、都内、神奈川県内の各歯科医院にて出張手術担当。
 

【所属】
日本口腔外科学会
ICOI国際インプラント学会
日本口腔インプラント学会
顎顔面インプラント学会
顎咬合学会
スポーツ歯科学会
アメリカ心臓協会AHA
・スタディーグループFTP主宰

【略歴】
神奈川歯科大学 卒業
・中沢歯科医院 訪問歯科治療担当
医療法人社団葵実会青葉歯科医院 分院長就任
シンタニ銀座歯科口腔外科クリニック 親知らず口腔外科担当
医療法人社団和晃会クリーン歯科 分院長就任
医療法人社団横浜駅前歯科矯正歯科 矯正口腔外科担当
医療法人社団希翔会日比谷通りスクエア歯科

一覧に戻る