親知らず抜歯のデメリットと費用は?抜かないリスクも比較して解説 東京都大森駅徒歩50秒の歯医者・歯科「おおもり北口歯科」です。

親知らずの抜歯は、多くの方が漠然とした不安を抱える歯科治療の一つではないでしょうか。抜歯に伴う痛みや腫れ、そして仕事への影響など、心配な点は尽きないかもしれません。しかし、親知らずの抜歯には確かにいくつかのデメリットが伴う一方で、問題のある親知らずをそのまま放置することには、虫歯や歯周病の悪化、さらには大切な歯並びへの影響といった、より深刻なリスクが潜んでいます。

この記事では、親知らず抜歯の具体的なデメリット、抜歯せずに放置した場合に考えられるリスク、そして気になる費用について詳しく解説します。これらの情報を正しく理解し、ご自身の状況に合わせた治療選択をするための判断材料として役立てていただければ幸いです。

目次

【結論】親知らずは抜くべき?まずはデメリットと抜かないリスクを知ろう

「親知らずは抜くべきなのか」という疑問は、親知らずに何らかの症状を感じた方が最初に抱く共通のものです。しかし、この問いに対する答えは、一概に「はい」とも「いいえ」とも言えません。親知らずの生え方、現在の症状の有無、そして将来的な見通しによって、抜歯の必要性は大きく異なります。

適切な判断を下すためには、抜歯によって生じる可能性のあるデメリットと、抜かずに放置した場合に起こりうるリスクの両方を正確に理解し、比較検討することが不可欠です。抜歯に伴う痛みや腫れといった一時的な負担と、放置することで将来的に歯の健康全体を損なう可能性を天秤にかける必要があるのです。

このセクションでは、親知らずの抜歯を検討する上で知っておくべき基本的な考え方をお伝えします。ご自身の親知らずの状態を客観的に見つめ直し、歯科医師との相談に臨むための知識を深めていきましょう。

親知らず抜歯の5つのデメリットと対策

親知らずの抜歯と聞くと、「痛い」「腫れる」といった不安を抱く方も多いのではないでしょうか。特に「合併症」という言葉は、漠然とした恐怖を抱かせやすいかもしれません。しかし、これらのデメリットについて事前に正しい知識と具体的な対策を理解しておくことで、不安を大きく軽減し、落ち着いて治療に臨むことができます。このセクションでは、親知らず抜歯に伴う具体的なデメリットとその対処法について詳しく解説していきますので、ご自身の状況と照らし合わせながら、安心して治療を受けるための心の準備を進めていきましょう。

抜歯後の痛みや腫れ、仕事への影響

親知らずの抜歯後に痛みや腫れが生じることは、多くの方が最も心配される点の一つです。これらは、抜歯という外科処置を受けた後の身体の正常な治癒過程で起こる反応であり、特に下あごの親知らずや、歯茎の中に埋まっている親知らずを抜歯した場合に強く現れる傾向があります。痛みと腫れのピークは術後2〜3日後で、その後1週間程度で徐々に落ち着いていくのが一般的です。

痛みに対しては、歯科医師から処方される鎮痛剤を指示通りに服用することでコントロールできます。腫れに対しては、抜歯直後から患部を冷やすことで、その程度を軽減することが可能です。冷却シートや濡らしたタオルなどを使い、外側から優しく冷やしてください。

仕事への影響については、抜歯の難易度や仕事内容によって異なります。例えば、まっすぐ生えている親知らずの簡単な抜歯であれば、翌日からデスクワークなどの仕事に復帰できる場合が多いです。しかし、歯茎を切開したり骨を削ったりする外科的な処置を伴う抜歯の場合は、痛みや腫れが強く出る可能性があるため、2〜3日程度の安静が推奨されます。ご自身の仕事のスケジュールを考慮し、可能であれば週末や連休前などに抜歯を行うことで、術後の回復期間を確保できるでしょう。

神経麻痺などの合併症リスク

親知らずの抜歯には、ごく稀にですが、神経麻痺などの合併症のリスクも存在します。特に注意が必要なのは、下あごの親知らずの抜歯で起こりうる「下歯槽神経麻痺(かしそうしんけいまひ)」です。下歯槽神経は下あごの骨の中を通っており、親知らずの根と非常に近い位置にある場合があります。この神経が抜歯の際に傷ついてしまうと、下唇やあごの皮膚にしびれが残る可能性があります。しびれの程度や持続期間は個人差がありますが、ほとんどの場合は数ヶ月から1年程度で回復すると言われています。

また、上あごの親知らずの抜歯では、「上顎洞(じょうがくどう)」との交通が起こりうるリスクがあります。上顎洞とは、鼻の奥にある空洞で、上あごの親知らずの根が上顎洞に接している場合、抜歯によって上顎洞と口腔内が一時的に繋がってしまうことがあります。この場合、術後に鼻血が出たり、水を飲んだときに鼻に逆流したりする症状が現れることがありますが、通常は自然に閉鎖するか、簡単な処置で対応できます。

これらの合併症のリスクは非常に稀ですが、歯科医師はレントゲン撮影やCT検査を事前に行い、親知らずと神経や上顎洞との位置関係を詳細に把握します。そして、その情報をもとに、リスクを最小限に抑えるための抜歯計画を立てますのでご安心ください。不安な点があれば、遠慮なく歯科医師に質問し、納得した上で治療を受けることが大切です。

ドライソケットなど術後のトラブル

抜歯後の代表的なトラブルとして、「ドライソケット」があります。ドライソケットとは、抜歯した穴に形成されるはずの血餅(けっぺい)、つまりかさぶたの役割を果たす血液の塊が、何らかの原因で剥がれてしまい、骨が直接露出してしまう状態を指します。血餅がなくなると、骨が外気に触れて細菌感染しやすくなるため、抜歯後数日経ってから激しい痛みが長引くことが特徴です。

ドライソケットの原因としては、抜歯後に強いうがいをしすぎたり、舌で抜歯窩を触りすぎたりすること、喫煙などが挙げられます。これを防ぐためには、術後24時間はうがいを控える、ストローの使用を避ける(吸い込む動作が血餅を剥がす原因になるため)、喫煙を控えるといった具体的な予防策をしっかりと守ることが大切です。万が一、抜歯から数日経っても痛みが治まらず、むしろ増していると感じた場合は、自己判断せずに速やかに歯科医院に連絡し、診察を受けてください。

将来の治療(移植など)の選択肢がなくなる

親知らずを抜歯することには、あまり知られていないデメリットとして、将来的な治療の選択肢が一つ失われる可能性も考えられます。それが「自家歯牙移植(じかしかいしょく)」という治療法です。これは、もし将来的に他の奥歯を虫歯や歯周病などで失ってしまった際に、健康な親知らずをその抜歯した部分に移植するという、非常に有効な選択肢となります。

そのため、もし真っ直ぐに生えていて、清掃も行き届いているなど、問題なく機能している健康な親知らずを抜歯してしまうと、この自家歯牙移植のドナーとなる貴重な歯を失ってしまうことになります。ただし、このデメリットはあくまで親知らずが健康で、かつ移植に適した形や位置にある場合に限られるため、全ての親知らずの抜歯に当てはまるわけではありません。

治療期間と通院回数が必要になる

親知らずの抜歯は、一度の来院で全てが完結する治療ではありません。特に仕事で忙しい方にとっては、治療に必要な時間的な拘束もデメリットの一つと感じられるかもしれません。一般的に、親知らずの抜歯には「初診・精密検査」「抜歯処置」「術後の消毒・抜糸」という一連の流れで、最低でも3回程度の通院が必要になります。

初診時には、レントゲン撮影や必要に応じてCT撮影を行い、親知らずの状態や神経との位置関係などを詳しく調べます。そして、後日改めて抜歯処置を行い、さらにその1週間前後で傷口の確認と消毒、そして必要であれば抜糸のために再来院が必要です。複雑な生え方をしている親知らずの場合は、さらに通院回数が増える可能性もあります。これらの通院計画を事前に理解しておくことで、ご自身のスケジュール調整がしやすくなり、安心して治療に臨むことができるでしょう。

放置は危険?親知らずを抜かない4つのリスク

親知らずの抜歯に対して不安を感じる方は少なくありませんが、問題のある親知らずをそのまま放置することは、将来的にさらに大きなトラブルを引き起こす可能性があることをご存知でしょうか。抜歯に伴う短期的なデメリットがある一方で、親知らずを抜かない選択は、虫歯や歯周病の進行、歯並びへの悪影響、さらには繰り返す痛みといった、避けたいリスクを抱えることにつながります。このセクションでは、親知らずを放置することで生じる具体的なリスクを詳しく解説し、抜歯を検討することの重要性について掘り下げていきます。

虫歯や歯周病のリスクが高まる

親知らずを抜かずに放置することの最大のリスクの一つに、虫歯や歯周病の発生および進行があります。親知らずは口の最も奥に位置しているため、歯ブラシが届きにくく、日々の清掃が非常に難しい箇所です。そのため、食べかすや歯垢が溜まりやすく、虫歯菌や歯周病菌が繁殖しやすい環境になってしまいます。

特に、親知らずが斜めや横向きに生えている場合、隣にある大切な第二大臼歯(だいにだいきゅうし)との隙間に汚れが詰まりやすくなります。この隙間は歯ブラシの毛先が届きにくいため、親知らず自身だけでなく、機能的に重要な役割を果たす隣の歯まで虫歯や歯周病にしてしまうリスクが高いのです。症状が全くない親知らずであっても、このような理由から予防的な抜歯が推奨される大きな理由となっています。

隣の歯を押して歯並びが悪化する可能性

親知らずが歯並びに与える影響も、放置することのリスクとして挙げられます。特に、横向きや斜めに生えた親知らずは、手前にある他の歯を継続的に前方に押し出す力がかかる可能性があります。この力が長期間にわたって加わることで、前歯の歯並びが少しずつ乱れたり、矯正治療後にせっかく整えた歯並びが元に戻ってしまう「後戻り」の一因となることも考えられます。

さらに深刻なケースでは、親知らずが隣の歯の根を溶かしてしまう「歯根吸収」という問題を引き起こすことがあります。歯根吸収が起こると、隣の歯の寿命を縮めることにつながりかねません。全体の歯並びへの影響については専門家の間でもさまざまな見解がありますが、局所的な圧迫によるこのようなトラブルは明確なリスクとして認識されています。

「智歯周囲炎」による痛みや腫れを繰り返す

親知らず特有の炎症として「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」があります。これは、親知らずが半分だけ歯茎から顔を出しているような状態の際に、その周囲の歯茎に細菌が感染して炎症を起こす病気です。智歯周囲炎になると、まず歯茎の痛みや腫れが生じ、ひどい場合には口が大きく開けられなくなったり、発熱を伴ったりすることもあります。

智歯周囲炎の厄介な点は、一度症状が治まっても、体調が落ちた時や疲れが溜まった時などに再発を繰り返しやすいことです。例えば、連休前に急に痛み出してしまい、せっかくの休暇が台無しになるなど、予測不能なタイミングでトラブルが発生することも珍しくありません。このような慢性的な炎症や繰り返される痛みを根本的に解決するためには、原因である親知らずの抜歯が必要となるケースがほとんどです。将来の生活に支障をきたさないためにも、このリスクは考慮すべき重要なポイントです。

口臭の原因になる

親知らずを放置することは、口臭の原因になる可能性もあります。親知らずの周りは歯ブラシが届きにくいため、清掃が行き届かずに歯垢や食べかすが溜まりがちです。これらが細菌の温床となり、口臭の原因となる揮発性硫黄化合物などのガスを発生させてしまうメカニズムです。

また、智歯周囲炎のように歯茎に炎症が起きている場合、膿などが口の中に溜まることで、さらに強い悪臭を発することがあります。丁寧に歯磨きをしているにもかかわらず口臭が改善しない場合、その原因が親知らずにあることも考えられます。抜歯によって、この細菌の温床を取り除くことができれば、口臭の改善にもつながる可能性があります。

【ケース別】あなたの親知らずは抜くべき?判断基準を解説

ここまで、親知らずの抜歯に伴うデメリットと、抜かずに放置した場合のリスクについて詳しくご説明してきました。これらの情報を踏まえ、「では、私の親知らずは抜くべきなのだろうか」と感じ始めた方もいらっしゃるかもしれません。

このセクションでは、ご自身の親知らずの状態がどのようなケースに当てはまるのか、そして抜歯が推奨されるのはどのような場合か、あるいは抜かなくても問題ないのはどんな場合か、具体的な判断基準を解説します。ただし、最終的な診断と治療方針の決定には、必ず歯科医師による精密な検査が必要です。ここで紹介する内容は、あくまでご自身の状況を理解し、歯科医院で相談する際の参考情報として活用してください。

抜歯が推奨されるケース

親知らずの抜歯が強く推奨されるのは、以下のような具体的な状況が認められる場合です。

まず、親知らず自体が虫歯になっていたり、手前の隣の歯(第二大臼歯)まで虫歯にしてしまっていたりするケースです。親知らずは一番奥に位置するため歯ブラシが届きにくく、一度虫歯になると進行が早い傾向にあります。特に隣の歯が虫歯になると、その歯の機能にまで影響を及ぼしかねません。

次に、智歯周囲炎(ちししゅういえん)を繰り返しており、痛みや腫れ、口が開きにくいといった症状が頻繁に生じている場合です。一時的に症状が治まっても、体調を崩した際などに再発しやすく、根本的な解決のためには抜歯が有効な選択肢となります。

また、親知らずが斜めや横向きに生えており、手前の歯を常に押している、または将来的に歯並び全体に悪影響を与える可能性が指摘される場合も抜歯が推奨されます。これにより、噛み合わせの不調や前歯の乱れを防ぐことにつながります。

レントゲンやCTなどの精密検査で、歯の周りに嚢胞(のうほう)という袋状の病変が見つかった場合も、抜歯が必要になることが多いです。嚢胞は放置すると大きくなり、周囲の骨を溶かす可能性があるため、早期の処置が求められます。

最後に、矯正治療を計画している場合です。親知らずが矯正治療の妨げになる場合や、治療後に歯並びの後戻りの原因となる可能性がある場合、事前に抜歯することが勧められます。

抜かなくても良い・経過観察となるケース

一方で、必ずしも抜歯が必要ではない、あるいは経過観察で良いとされる親知らずもあります。以下のような状況であれば、無理に抜歯する必要がないと判断されることが多いです。

第一に、親知らずがまっすぐに正常に生えており、上下の歯としっかりと噛み合っているケースです。さらに、歯磨きも問題なくできており、虫歯や歯周病のリスクが低い場合は、無理に抜く必要はありません。このような親知らずは、将来的に他の奥歯を失った際の「自家歯牙移植」のドナー歯としても活用できる可能性があります。

第二に、親知らずが完全に骨の中に埋まっており(完全埋伏)、痛みや腫れなどの症状が一切なく、レントゲン上も隣の歯や骨、神経などに悪影響を与えていない場合です。この場合は、症状が出るまで定期的に経過を観察するという選択肢もあります。

第三に、患者さんの年齢が高齢であったり、高血圧や糖尿病などの重篤な全身疾患を抱えていたりする場合です。抜歯手術自体が体に大きな負担をかけるリスクがあるため、慎重な判断が必要となり、無理に抜歯しない方が良いと判断されることもあります。

ただし、「抜かなくても良い」と判断された場合でも、その状態が永続的に続くとは限りません。親知らずは、加齢や体調の変化によって突然症状が現れることもあります。そのため、抜歯を見送る場合でも、定期的な歯科検診を継続し、親知らずの状態を歯科医師にチェックしてもらう「経過観察」が非常に重要になります。異常を感じたらすぐに歯科医院を受診してください。

デメリットだけじゃない!親知らずを抜歯するメリット

親知らずの抜歯には痛みや腫れ、費用といったデメリットが伴うことは事実ですが、一方で抜歯によって得られるメリットも非常に多くあります。短期的な負担の裏には、長期的な口腔内の健康維持や日々の快適さにつながる大きな利益が隠されています。これから、具体的なメリットを一つずつご紹介しますので、親知らずの抜歯をより前向きに検討するための一助としてお役立てください。

虫歯・歯周病のリスクを根本から解消できる

親知らずを抜歯する最大のメリットの一つは、将来的な虫歯や歯周病のリスクを根本から解消できる点にあります。親知らずは口の最も奥に位置するため、歯ブラシの毛先が届きにくく、汚れが蓄積しやすい場所です。この清掃が困難な「リスクスポット」そのものをなくすことで、親知らずだけでなく、その手前にある重要な歯である第二大臼歯(奥から2番目の永久歯)を虫歯や歯周病から守ることができます。

第二大臼歯は、食事をする上で中心的な役割を担う大切な歯です。親知らずが隣接する第二大臼歯を虫歯にしてしまうケースは少なくありません。抜歯は、このような連鎖的なトラブルを未然に防ぎ、長期的な視点で見れば、お口全体の健康と機能性を維持するための「口腔内環境への投資」と言えるでしょう。

歯磨きがしやすくなり口内を清潔に保てる

親知らずがなくなることで、日々の歯磨きが格段にしやすくなるという具体的なメリットも挙げられます。親知らずの存在は、多くの場合、歯ブラシが一番奥まで届くのを邪魔し、磨き残しが生じやすい原因となります。親知らずを抜歯すると、口の奥にスペースが生まれ、歯ブラシをスムーズに動かせるようになります。

これにより、口内全体の清掃性が向上し、常に清潔な状態を保ちやすくなります。磨き残しが減ることで、虫歯や歯周病のリスクがさらに低減されるだけでなく、口の中の爽快感が増し、日々の生活の質(QOL)向上にもつながるでしょう。

歯並びへの悪影響を防ぎ、口臭が改善することも

親知らずの抜歯は、歯並びの悪化を防ぐという点でもメリットがあります。特に斜めや横向きに生えている親知らずは、手前の歯を継続的に押し続けることで、歯並びが乱れる一因となることがあります。抜歯によってこの物理的な圧迫がなくなるため、将来的な歯並びの乱れや局所的なトラブルを未然に防ぐことにつながります。

また、親知らずの周りに溜まりがちな食べかすや細菌は、口臭の原因となることがあります。智歯周囲炎などで炎症を起こしている場合は、さらに強い口臭が発生することもあります。親知らずを抜歯することで、これらの口臭の原因が取り除かれ、口臭が改善するケースは非常に多いです。これにより、審美面だけでなく、人とのコミュニケーションにおける自信の向上といった社会生活上のメリットも期待できます。

親知らず抜歯にかかる費用相場

親知らずの抜歯を検討する際、多くの方が気になるのが治療にかかる費用ではないでしょうか。親知らずの抜歯は健康保険が適用される治療ですので、費用の全額を自己負担する必要はありません。しかし、抜歯にかかる費用は親知らずの生え方や抜歯の難易度によって大きく変動します。このセクションでは、抜歯の費用がどのように決まるのか、具体的な内訳と一般的な目安について詳しくご説明します。ご自身のケースではどの程度の費用がかかるのか、事前に見当をつけるための一助となれば幸いです。

親知らずの生え方で費用は変わる

親知らずの抜歯費用は、抜歯の難易度によって変動します。これは、抜歯の難易度が高いほど、処置に要する時間や使用する器具、術者の技術レベルが異なるためです。一般的に、親知らずの生え方は以下の3つのケースに分類され、それぞれ費用が異なります。

まず「まっすぐ生えている歯の抜歯」は、通常の抜歯器具で比較的簡単に抜歯できるため、最も費用が安価です。次に「歯の一部が埋まっている歯の抜歯」、いわゆる半埋伏歯や水平埋伏歯と呼ばれるケースでは、歯茎を少し切開する必要があるため、費用がやや高くなります。そして「歯が完全に埋まっている歯の抜歯」、つまり完全埋伏歯の場合は、歯茎の切開に加え、骨を削るなどの複雑な外科処置が必要になるため、最も高額になる傾向があります。

このように、ご自身の親知らずがどのケースに当てはまるかによって、費用の目安が変わってきますので、歯科医院でのレントゲン撮影や診察でしっかりと確認してもらうことが大切です。

保険適用(3割負担)の場合の費用目安

健康保険が適用される親知らずの抜歯では、窓口での自己負担割合が3割の場合、おおよその費用目安は以下のようになります。

まっすぐ生えている親知らずの抜歯は、比較的シンプルな処置であるため、1,500円から3,000円程度が目安となります。これに対して、歯の一部が歯茎や骨の中に埋まっている半埋伏歯の抜歯は、切開などの処置が必要となるため、2,500円から4,000円程度が一般的です。さらに、歯が完全に骨の中に埋まっている完全埋伏歯の抜歯や、歯の根が複雑に曲がっているなど、より高度な外科処置が必要なケースでは、4,000円から5,000円程度の費用がかかることがあります。

ただし、これらの金額はあくまで抜歯処置自体の目安であり、初診料やレントゲン・CT撮影費、処方される薬代、抜歯後の消毒や抜糸のための再診料などは含まれていません。全体の費用はこれらの諸費用を合算したものになりますので、ご注意ください。正確な費用については、受診される歯科医院で事前に確認することをおすすめします。

【コラム】親知らずの抜歯は医療費控除の対象になる?

親知らずの抜歯にかかる費用は、医療費控除の対象となる場合があります。医療費控除とは、1月1日から12月31日までの1年間で、ご自身や生計を同一にするご家族が支払った医療費の合計が一定額を超えた場合に、確定申告をすることで所得税などの還付や軽減を受けられる制度です。

親知らずの抜歯は、虫歯や歯周病の治療、歯並びの改善、痛みの除去など、美容目的ではなく「治療目的」で行われるため、医療費控除の対象として認められます。治療を受けた際は、必ず歯科医院から発行される領収書を保管しておくようにしましょう。領収書は医療費控除を申請する際に必要となります。詳細な申請方法や対象となる医療費の範囲については、国税庁のウェブサイトなどで情報を確認するか、税務署にご相談ください。

親知らず抜歯の基本的な流れと術後の注意点

親知らずの抜歯と聞くと、どのような流れで進むのか、当日どんなことをするのか、術後はどう過ごせば良いのかなど、さまざまな疑問や不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。このセクションでは、初診でのカウンセリングから検査、実際の抜歯処置、そして抜歯後の回復期間における注意点まで、一連のプロセスをステップごとに詳しくご説明します。事前に治療の全体像を把握することで、手術への漠然とした不安を軽減し、安心して治療に臨んでいただけるでしょう。特に、術後の適切な過ごし方は、スムーズな回復とトラブルの予防に不可欠ですので、その点についても詳しく解説していきます。

STEP1:カウンセリングと精密検査(レントゲン・CT撮影)

親知らずの抜歯治療は、まず歯科医師による丁寧なカウンセリングと精密な検査から始まります。初診時には、現在抱えている症状やこれまでの病歴、アレルギーの有無などについて詳細な問診が行われます。次に、口腔内の視診が行われ、親知らずの状態や周囲の歯肉の炎症の有無などが確認されます。

その後の診断において最も重要なのが、レントゲン撮影です。レントゲン写真によって、親知らずの生えている向き、歯根の形、骨の中での位置、そして最も注意が必要な下顎管(下顎の中を通る神経や血管の管)との距離や関係性を詳細に確認します。特に、親知らずが骨の中に埋まっている、あるいは神経に非常に近い位置にあるような複雑なケースでは、通常のレントゲンでは得られない三次元的な情報を得るために、CT撮影が行われることもあります。CT撮影により、神経や血管の位置をミリ単位で正確に把握できるため、抜歯のリスクを最小限に抑えた安全な治療計画を立てることが可能になります。

これらの検査結果と患者さんの状態を総合的に判断した上で、歯科医師から親知らずを抜歯する必要性、具体的な抜歯の手順、予想されるリスクと合併症、そして抜歯後の注意点などについて詳細な説明が行われます。この段階で疑問や不安な点があれば、遠慮なく歯科医師に質問し、納得した上で治療に進むことが大切です。

STEP2:抜歯当日の流れと所要時間

抜歯当日は、まず処置を行う親知らずとその周辺の歯茎に局所麻酔をしっかりと行います。この麻酔が十分に効くことで、抜歯中に痛みを感じることはほとんどありませんので、ご安心ください。ただし、歯を揺らす際の「押される感覚」や、骨を削る場合には「振動」を感じることはありますが、痛みとは異なります。

麻酔が効いたことを確認した後、いよいよ抜歯処置が開始されます。まっすぐ生えていて比較的簡単に抜ける親知らずの場合、処置時間は15分から30分程度で終わることが多いです。一方、横向きや斜めに生えていたり、骨の中に完全に埋まっていたりする親知らずの場合には、歯茎を切開したり、骨を削ったり、歯を分割したりといった外科的な処置が必要となります。これらの複雑なケースでは、処置時間は30分から90分程度かかることもあります。

歯科医師は、できるだけ患者さんの負担を少なくできるよう、丁寧かつ迅速に処置を進めます。抜歯が完了した後は、止血を確認し、必要に応じて縫合を行います。抜歯当日は麻酔が効いているため、痛みはほとんど感じませんが、麻酔が切れると痛みが出てくる可能性があるため、通常は抜歯後に鎮痛剤が処方されます。当日は、ご自身での運転は避けて、公共交通機関などを利用して来院することをおすすめします。

STEP3:抜歯後の過ごし方と注意点(食事・仕事・運動など)

親知らずの抜歯後は、スムーズな回復とトラブルを防ぐために、いくつかの重要な注意点があります。これらをしっかりと守ることで、痛みや腫れを最小限に抑え、普段の生活に早く戻れるでしょう。

まず、抜歯直後は出血が続くことがありますので、歯科医師の指示通りにガーゼをしっかりと30分から1時間程度噛んで止血に努めてください。その後も唾液に少量の血が混じることはありますが、これは正常な反応です。もし出血が止まらない場合は、清潔なガーゼを再度噛んで圧迫止血を行い、それでも止まらなければ歯科医院へ連絡しましょう。

痛みと腫れについては、麻酔が切れる前に処方された鎮痛剤を服用しておくことが大切です。また、患部を冷やすことも腫れを抑えるのに有効ですが、冷やしすぎは血行不良を招くため、濡らしたタオルなどを軽く当てる程度にしてください。腫れのピークは抜歯後2~3日であることが多く、1週間程度で徐々に引いていきます。

食事に関しては、抜歯当日はおかゆやゼリー、スープなど、柔らかく刺激の少ないものを摂るようにしてください。熱いものや硬いもの、香辛料の強いものは、傷口を刺激したり、血流を促進して出血を増やす可能性があるため避けるべきです。また、抜歯した側ではない方でゆっくりと噛むように心がけましょう。

口腔衛生については、抜歯した穴にできる血の塊(血餅)は傷口を保護する重要な役割を果たします。この血餅が剥がれてしまうとドライソケットという激しい痛みを伴うトラブルにつながるため、抜歯後24時間程度は強いうがいを避けてください。歯磨きは他の歯を優しく行う分には問題ありませんが、傷口に直接歯ブラシが当たらないように注意しましょう。

日常生活での注意点としては、血行が良くなるような行動を控えることが挙げられます。具体的には、長時間の入浴やサウナ、激しい運動、飲酒は抜歯後数日間は避けてください。喫煙も血行不良を招き、治癒を遅らせる原因となるため、できるだけ控えることが望ましいです。仕事に関しては、簡単な抜歯でデスクワークであれば翌日から可能ですが、複雑な抜歯や体力を使う仕事の場合は、腫れや痛みの状態を考慮し、2~3日程度の安静を取ると安心です。

STEP4:消毒・抜糸

親知らずの抜歯治療は、抜歯処置そのもので終わりではありません。術後の傷口の経過を確認し、適切に管理するためのアフターケアも重要なステップです。

通常、抜歯から約1週間後に、傷口の状態を確認するための来院が必要となります。この診察では、傷口が順調に治癒しているか、感染の兆候がないかなどを歯科医師が確認し、必要に応じて傷口の消毒が行われます。もし抜歯時に歯茎を縫合している場合は、このタイミングで抜糸も行われます。最近では、体内で自然に溶けるタイプの縫合糸を使用する場合もあり、その際は抜糸の必要がないこともあります。

この術後の診察は、見た目には傷が塞がっているように見えても、骨の内部の治癒はまだ途中であるため、非常に大切なプロセスです。これにより、術後の合併症やトラブルがないかを早期に発見し、適切な処置を行うことができます。また、患者さんにとっても、順調に回復していることを確認できるため、安心感を得られる機会となるでしょう。ご自身の判断で受診をスキップせず、必ず歯科医師の指示に従って来院するようにしてください。

親知らず抜歯に関するよくある質問

これまで親知らずの抜歯におけるデメリットや抜かないリスクについて詳しく解説してきましたが、まだ解決しきれていない細かな疑問や不安をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。このセクションでは、皆さんが特に気になるであろう点についてQ&A形式で解説し、皆さんの疑問を解消して、安心して治療に臨めるようサポートします。

Q. 抜歯中の痛みはありますか?

親知らずの抜歯中に痛みを感じることは、ほとんどありませんのでご安心ください。抜歯の際には局所麻酔をしっかりと施します。麻酔が十分に作用していることを確認してから処置を開始しますので、痛みを感じることは極めてまれです。

ただし、麻酔が効いていても、歯を押されたり、骨を削ったりする際の「押される感覚」や「振動」は伝わることがあります。これらは痛みとは異なる感覚であり、多くの場合は我慢できる範囲です。もし万が一、処置中に痛みを感じるようであれば、我慢せずにすぐに手を挙げるなどして歯科医師に伝えてください。必要に応じて麻酔を追加し、痛みをさらに軽減する処置を行います。

Q. 仕事は何日くらい休む必要がありますか?

親知らずの抜歯後に仕事を何日休むべきかは、抜歯の難易度やご自身の仕事内容によって大きく異なります。一概に「何日」と言い切ることはできませんが、一般的な目安をお伝えします。

例えば、まっすぐ生えている親知らずの簡単な抜歯で、お仕事がデスクワークが中心であれば、抜歯の翌日から出勤可能な場合が多いでしょう。しかし、下の親知らずで歯茎を切開したり、骨を削ったりするような外科的な処置を伴う抜歯の場合、術後の腫れや痛みが強く出やすいため、2〜3日程度お休みを取ると安心です。

また、抜歯当日は麻酔の影響で口の感覚が鈍っていたり、出血が続いていたりするため、無理せず安静に過ごすことをおすすめします。もし抜歯を検討されているのであれば、週末や連休前など、仕事への影響を最小限に抑えられるタイミングで抜歯処置を受ける計画を立てるのが賢明です。例えば、金曜日に抜歯を受け、土日でゆっくり休養するといったスケジュールを立てることで、月曜日から比較的スムーズに仕事に復帰できるかもしれません。

Q. どの歯医者さんでも抜歯できますか?

親知らずの抜歯は、その難易度によって対応できる歯科医院が異なります。まっすぐ生えている親知らずや、簡単な抜歯であれば、多くの一般歯科医院で対応が可能です。かかりつけの歯科医院で抜歯できることも多いでしょう。

しかし、親知らずが骨の中に深く埋まっている場合や、横向きに生えていて神経に近い位置にあるなど、難易度の高いケースでは専門的な知識と技術が必要となります。このような難症例の場合、一般歯科では対応が難しく、「口腔外科(こうくうげか)」を専門とする歯科医師がいる歯科医院や、大学病院などの高次医療機関での抜歯が推奨されることが多いです。自分の親知らずが難症例かもしれないと不安を感じる場合は、最初から口腔外科を標榜している歯科医院を受診するか、まずはかかりつけの歯科医師に相談し、必要に応じて専門医への紹介を依頼するのが良いでしょう。ご自身の状況に合った適切な医療機関を選ぶことが、安全で確実な抜歯につながります。

まとめ:デメリットとリスクを正しく理解し、まずは歯科医師に相談しよう

親知らずを抜くかどうかの判断は、今回ご紹介した「抜歯のデメリット」と「放置するリスク」を総合的に考慮した上で検討することが大切です。

抜歯には痛みや腫れ、一時的な不便さが伴う一方で、問題のある親知らずを放置すると、虫歯や歯周病の悪化、歯並びへの影響、繰り返す痛みといった、より大きなトラブルにつながる可能性があります。

最終的な判断は、レントゲンやCTによる精密検査と、それを基にした歯科医師による専門的な診断が不可欠です。ご自身の親知らずの状態や、将来的な口腔内の健康を考え、まずは信頼できる歯科医師にご相談ください。専門家との対話を通じて、ご自身にとって最適な治療選択を見つけることが、納得のいく結果へと繋がるでしょう。

 

監修者

菊池 雄一 | Kikuchi Yuichi

神奈川歯科大学卒業後、中沢歯科医院 訪問歯科治療担当
医療法人社団葵実会青葉歯科医院 分院長就任
シンタニ銀座歯科口腔外科クリニック 親知らず口腔外科担当
医療法人社団和晃会クリーン歯科 分院長就任
医療法人社団横浜駅前歯科矯正歯科 矯正口腔外科担当
医療法人社団希翔会日比谷通りスクエア歯科
おおもり北口歯科 開業
昭和大学口腔外科退局後は、昭和大学歯学部学生口腔外科実習指導担当経験 また、都内、神奈川県内の各歯科医院にて出張手術担当。
 

【所属】
日本口腔外科学会
ICOI国際インプラント学会
日本口腔インプラント学会
顎顔面インプラント学会
顎咬合学会
スポーツ歯科学会
アメリカ心臓協会AHA
・スタディーグループFTP主宰

【略歴】
神奈川歯科大学 卒業
・中沢歯科医院 訪問歯科治療担当
医療法人社団葵実会青葉歯科医院 分院長就任
シンタニ銀座歯科口腔外科クリニック 親知らず口腔外科担当
医療法人社団和晃会クリーン歯科 分院長就任
医療法人社団横浜駅前歯科矯正歯科 矯正口腔外科担当
医療法人社団希翔会日比谷通りスクエア歯科

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